ペア飼育の効果とその飼育の個体管理・研究への影響 (写真49-61)


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個別ケージ飼育の個体同士でペア形成を行い、個体が持つ社会的接触や係わり合いに対する要求を、積極的に満たすのに適した環境を与える。"同居可能なパートナーは、常に変化するが予測可能な刺激であり、時間を経ても、個体の退屈さを紛らわす刺激としての有効性は低減しない"(Reinhardt & Dodsworth, 1989)。

ペア形成から1年以上が経った今も、27才のシッサは1日の15%の時間、彼女のパートナーである36才のセニラをグルーミングしている(写真49)。また、セニラは1日の32%の時間シッサをグルーミングしている(写真50; Reinhardt & Hurwitz, 1993; 写真はRobert Dodsworth, Wisconsin Regional Primate Reseach Centerの提供)。

同性のペアで飼育されているアカゲザルでは、おおよそ20%の時間、その種で典型的に見られる方法で、どちらの個体もけがを負うことなく係わり合った(Ranheim & Reinhardt, 1989; Eaton et al., 1994)。メス同士のペアの方がオス同士のペアよりも、その係わり合いに長い時間を費やした(Reinhardt, 1990b; ベニガオザル: Bernstein, 1980参照; カニクイザル: Crockett et al., 1994)。

この割合は、自然環境下で生息している個体のそれにも匹敵するものであり(Teas et al., 1980; Chopra et al., 1992)、ペア飼育が、個体の持つ根本的な社会的要求を満たすために適切な環境を提供することを示唆する。




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体重の増加(ペアの同居適合性は、2頭が餌を分け合うことを意味するから)、免疫反応、血清コルチゾール濃度(リスザル: Coe et al., 1982; Gonzalez et al., 1982参照)、そして繁殖(Eaton et al., 1994; Reinhardt et al., 1990,1991b参照; Reinhardt & Hurwitz, 1993; Schapiro et al., 1993)を比較したときに、同居ケージ内の劣位個体と優位個体の間に違いはなかった。また、彼らと個別ケージ飼育の個体の間にも違いはない。

けれども、ペア飼育の個体は獣医による治療(特に下痢に付随する諸症状の治療; Schapiro & Bushong, 1994)を、個別ケージ飼育の個体ほど頻繁には必要としないという目立った傾向がある(Reinhardt, 1990a)。また、ペア飼育の個体は個別ケージ飼育の個体に比べて、「異常」な行動(行動疾患)を生起させる頻度が低い(Goosen, 1988; Reinhardt et al., 1988; Eaton et al., 1994)。個別ケージ飼育の7頭を同居ケージに移動したところ、自分を噛むという行動疾患が効果的に治療された(Reinhardt, 1999a)。同様のことが5頭のカニクイザルでも報告されている(Line et al., 1990b)。

これらの報告は、"長期に渡る個別ケージ飼育が、自身の体を噛むという行為を引き起こしている原因の有力なものであろう"という考えが正しいものであることを証明している(NRC, 1998)。





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アカゲザルを、個別ではなくペアで飼育することは、個体の捕獲(写真53,54)などの通常の管理方法と相容れないものではない(Reinhardt, 1992c)。




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また、ペア飼育(写真55, メス同士のペア、写真56, オス同士のペア)は、注射や採血などの通常の処置方法と相容れないものではない(Reinhardt et al., 1989b)。





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さらに、ヘッドキャップの取り付けなどの実験操作とペア飼育が相容れないものであるということもない(Reinhardt, 1991c)。

ペアの片方をモンキーチェアに拘束する必要がある場合には、その個体の経験する恐怖やストレス反応を緩和するために、もう一方の個体を一緒にする(写真21参照)。



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ペア飼育は、個体を適時交配の繁殖計画と相容れないものでもない(Reinhardt et al., 1989b)。例えば、現在までずっとブリーダーとして使用されてきたレイ(写真58左)と、様々な心理学研究で使用されてきたマックス(写真58右)だが、彼らは10年以上1つのケージで同居しているペアある。

育児はメス同士のペアの同居適合性に影響しない(Reinhardt & Dodsworth, 1989; Reinhardt, 1994c)。適時交配の繁殖計画に組み込まれているベータ写真59左)が、パートナーのリトル写真59右)とリンゴを分け合いながら、自分のアカンボウを抱いている。彼女達がペアで飼育され始めてから3年間が経つ。






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日中の食事制限を伴う研究の間は、2頭がお互いに非接触のコミュニケーションをとり続けられるように、格子状の間仕切り、またはグルーミングができるような幅を持った格子(Crockett et al., 1997; Crockett, 1998)で分けられたケージに別居させる(写真60)。そして夜は再び同居させる(写真61)。


ヒト以外の霊長類と人間の好ましい係わり方・好ましくない係わり方(写真62-71)

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